解説を読むことと解くことは違う
数学の勉強でいちばん多い思い込みは、解説を読んで理解できたから自分も解けると考えることです。解説をたどるのは誰かが切り開いた道を歩くことで、ひとりで解くのは道のない所で方向を決めることです。試験が求めるのは後者です。だから数学は、問題をたくさん「見た」人より、自分で行き詰まって抜け出した経験の多い人が伸びます。この記事の習慣はすべて、その経験を増やす方向にそろえてあります。
条件を整理し、行き詰まったときに粘る時間を決め、解答を最後まで書いて振り返る、数学の勉強習慣をまとめました。
数学の勉強でいちばん多い思い込みは、解説を読んで理解できたから自分も解けると考えることです。解説をたどるのは誰かが切り開いた道を歩くことで、ひとりで解くのは道のない所で方向を決めることです。試験が求めるのは後者です。だから数学は、問題をたくさん「見た」人より、自分で行き詰まって抜け出した経験の多い人が伸びます。この記事の習慣はすべて、その経験を増やす方向にそろえてあります。
数学者ジョージ・ポリアは一九四五年の著書『いかにして問題をとくか』で、問題解決を四つの段階に分けました。問題を理解する、計画を立てる、計画を実行する、解答を振り返る、の四つです。多くの生徒は二つ目と四つ目を飛ばして、いきなり計算に入ります。何をするか決めずに手を動かすと迷いやすく、解き終えて振り返らなければ、同じ型の問題を次もまた初めてのように解くことになります。
問題を読んだら、与えられた条件と求めるものを分けて書きます。文章のあちこちに散らばっていた情報が一か所に集まると、何が足りないのか、どの条件をまだ使っていないのかが見えてきます。図形や状況が出てくる問題は、自分で図を描いて与えられた値を書き込みましょう。行き詰まったときにまだ使っていない条件があれば、そこが糸口である可能性が高いのです。問題を最後まで読まずに見慣れた型だと決めつけて解き始めるのも、よくある失点の原因です。
行き詰まった瞬間に解説を開くと考える力が育つ機会がなくなり、反対に一問に一時間もかけると勉強全体が止まってしまいます。そこで、あらかじめ粘る時間を決めておくとよいでしょう。たとえば十〜十五分は解説なしで挑戦し、それでもだめなら解説の最初の一行だけを見て、また自分で続けるというやり方です。行き詰まっているあいだは、小さな数を入れてみる、答えの側から逆にたどる、条件をひとつ外して易しい問題に変えてみる、といった方法が使えます。
頭の中でいくつかの段階を飛ばすと速く見えますが、ミスの多くは飛ばした所で起きます。解答を一行に一段階ずつ、等号をそろえて書いておけば、あとでどこで間違えたかを探せます。間違いノートに「どの段階で間違えたか」を書けるのも、解答が残っているときだけです。記述式の試験なら、過程そのものが得点になることもあります。練習のときから、他人が読める解答を書く習慣をつけましょう。
答えが出たら、すぐ次の問題に移らず短くても確認します。求めた値をもとの条件に代入して合っているかを見て、単位がそろっているか、長さや個数のように負になりえない値が負になっていないかを確かめます。おおよその大きさを見積もるのもよい方法です。概算と計算結果が大きく違えば、どこかで間違えている合図です。この確認にかかる時間は短いものの、試験でうっかりミスによる失点を減らすのにいちばん効きます。
同じ単元の問題ばかり続けて解くと、どの考え方を使うか迷う必要がないので、うまく解けているように感じます。けれども試験では、どの単元の問題かは教えてくれません。単元にある程度慣れたら、いくつかの単元の問題を混ぜて解き、どの方法を使うか選ぶ練習をしましょう。そして解説を見て解いた問題は必ず印をつけておき、数日後に解説なしで解き直します。そのときひとりで解けてはじめて、その問題を解いたと言えます。
いちばん多い失敗は、問題集を何冊終えたかで実力を測ることです。解説を見ながらめくった問題が多いなら、冊数には何の意味もありません。それより一冊を何度も、間違えた問題を中心に解き直すほうがましです。また、計算ミスを「ただのミスだから」と流すのも危険です。同じ種類のミスが繰り返されるなら、それは習慣であり、検算の方法を決めて直すべきものです。
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